- クリーニングの事故原因は次の3つの主体に分けられます。クリーニング事故賠償の適用はクリーニング業者を主体としたものに限ります。
利用者の事故原因例
- 利用者がつけた食べこぼし、香粧品、泥ハネなどのシミで、正常なクリーニング処理技術で除去できないもの
- 利用者がつけた汗ジミで、正常なクリーニング処理技術で除去できないもの。また、クリーニングの熱処理で浮き出たものも含む
- 利用者の着用摩擦による自然消耗が、クリーニング処理で目立ったもの
- 利用者がつけたタバコの火や、利用者がストーブに触れたための焼け焦げ、収縮、変色、損傷
- 利用者の保存中における虫くいによる穴あき
- 利用者の保存中にガスやカビによって変退色したもの
- 利用者の行ったシミ抜き、漂白、糊付、洗たくなどが原因で、クリーニングで脱色、変退色、収縮、硬化、損傷が目立ったもの
アパレルメーカー・販売業者等の事故原因例
- 著しく染色不堅牢なために発生した脱色、色なき、移染、変退色
- 汗の付着による変色が、適正な取り扱いにも拘らずクリーニングで浮き出たもの。ただし、薬剤の服用による特異な汗を除く
- プリーツ加工が弱いために、プリーツが消えたもの
- 不適当な縫製のためにほつれたり、サイズ不適のため着用により糸ずれになったものが、クリーニングで拡大したもの
- その製品の機能に不適合な素材を用いたために発生した事故
- 付属品、装飾品、裏地、組み合わせ布地などの組み合わせが不適切であったために発生した事故
- 誤表示が原因で発生したクリーニング事故
クリーニング業者の事故原因例
- 一般繊維製品のドライクリーニングによる再汚染。ただし、ドライクリーニングをしなければならない製品であって、ドライクリーニング溶剤で粘着性を帯び、汚れが吸着しやすくなるようなものは当然除かれる
- クリーニング業者が行ったシミ抜きや漂白による脱色、変退色、損傷
- クリーニング機械による裂け、穴あき、脱落、すれ
- クリーニング中にファスナー、ホック、バックルなどに引っかかって生じた裂け、穴あき、すれ
- ドライクリーニングにおける洗浄液中の水分過剰、タンブラー温度の高すぎ、洗浄及び乾燥処理時間の長すぎによる毛製品の縮充収縮。ただし、半縮充製品
や利用者の着用による縮充部分の、ドライクリーニングによる縮充の促進事故
を除く - ウェットクリーニングのミスによる緩和収縮事故で、正常なクリーニング処理技術で修正不可能なもの。ただし、生地の地詰め不十分に起因する緩和収縮事
故を除く - 取扱い表示を無視して、表示よりも強いクリーニング処理をしたために発生した事故
- その製品に適した標準的クリーニング処理をしなかったために発生した事故
その他賠償対象外
- 製造から2年以上経過したポリウレタン製品
- ボンディング加工製品
- マッキントッシュ製品
- 販売元の表示通りにクリーニングしてお色に著しい変化が発生した製品
第1条(目的)
この賠償基準は、クリーニング業者が利用者から預かった洗濯物の処理または受け取りおよび引き渡しの業務の遂行にあたり、職務上相当な注意を怠ったことに基づき法律上の損害賠償責任を負うべき場合に、大量のクレームを定型的に処理する為の合理的基準を設定し、これにより公平かつ効率的にトラブルを解決するとともに、利用者の簡易迅速な救済を図ることを目的とする。
第2条(定義)
- この賠償基準において使用する用語は、次の定義に従うものとする。
- 「クリーニング業者」とは、利用者とクリーニング契約(寄託契約と請負契約の混合契約)を結んだ当事者をいう。
- 「賠償額」とは、利用者が洗濯物の紛失や損傷により直接に受けた損害に対する賠償金をいう。
- 「物品の再取得価格」とは、損害が発生した物品と同一の品質の新規の物品を事故発生時に購入するのに必要な金額をいう。
- 「平均使用年数」とは一般消費者が物品を購入したその時からその着用をやめる時までの平均的な期間をいう。
- 「補償割合」とは、洗濯物についての利用者の使用期間、使用頻度、保管状況、いたみ具合等による物品の価値の低下を考慮して、賠償額を調整する為の基準であって、物品の再取得価格に対するパーセンテージをもって表示された割合をいう。
第2条の2(説明責任)
- クリーニング業者は洗濯物の受け取り及び引き渡しをしようとする時は、あらかじめ、利用者に対し、洗濯物の処理方法等を説明するとともに、この賠償基準を提示しなければならない。
- クリーニング業者は、洗濯物の受け取り及び引き渡しをしようとする時は、洗濯物の状態を利用者とともに確認しなければならない。
第3条(クリーニング業者の責任)
- 洗濯物について事故が発生した場合は、クリーニング業者が被害を受けた利用者に対して賠償する。但し、クリーニング業者が、その職務の遂行において相当の注意を怠らなかったこと、及び利用者またはその他の第三者の過失により事故の全部または一部が発生したことを証明したときは、その証明の限度において本基準による賠償額の支払いを免れる。
- クリーニング業者は、利用者以外のその他の第三者の過失により事故の全部または一部が発生したことを証明したときは、その他の第三者により利用者への賠償が迅速かつ正確に行われるよう、利用者を最大限支援しなければならない。
第4条(賠償額の算定に関する基本方式)
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- 賠償額は、次の方式によりこれを算定する。但し、利用者とクリーニング業者との間に賠償額につき特約が結ばれた時は、その特約により賠償額を定める。
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- 賠償額 = 物品の再取得価格×物品の購入時からの経過月数に対して別表に定める補償割合
- ※1注文あたり20万円、1点あたり5万円を賠償額の限度とする
①お届け後2週間以内に判明したものか、弊社が事故扱いと認めたものに限ります。
②弊社のクリーニングタグが該当商品の本体に付いている事を前提とします。
③万一事故が発生した該当商品についての残存価格はお預かり時点の情報に基づいて査定されます。
④購入価格については、購入先またはメーカーの領収書、レシート等を必要とします。それらが紛失、廃棄処分されている場合は調査の上決定します。
⑤損害賠償品の返却及びクリーニング代金の返金はできません。
⑥取り扱い表示・縫い付けタグ等がない品物・切り取られている品物には適用されません。
⑦お客様の着用によって発生した事故であると判断された場合は適用されません。
⑧かたみの品、記念品などの主観的価値に対する賠償や精神的慰謝料には応じられません。
⑨ビンテージ物・骨董品など希少的価値に対する賠償には応じられません。
⑩インポート商品などの代替性のない品物に対する時価以上の賠償には応じられません。
第5条(賠償額の算定に関する特例)
- 洗濯物が紛失した場合など前条に定める賠償額の算定による事が妥当でないと認められる場合には、次の算定方式を使用する。但し、洗濯物が紛失した場合でも、物品の再取得価格、購入時からの経過月数が明らかであるときは、本基準第4条に定める原則的な賠償額算定をしなければならない。
- 洗濯物がドライクリーニングによって処理された時・・・クリーニング料金の40倍
- 洗濯物がウエットクリーニングによって処理された時・・・クリーニング料金の40倍
- 洗濯物がランドリーによって処理された時・・・クリーニング料金の20倍
- 洗濯物が特殊クリーニングによって処理された時・・・クリーニング料金の20倍
第6条(賠償額の減縮)
- 第3条の規定に関わらず、以下の各号については賠償額を減縮することができる。
- クリーニング業者が賠償金の支払いと同時に利用者の求めにより事故物品を利用者に引き渡す時は、賠償額の一部をカットする事ができる。
- クリーニング業者が洗濯物を受け取った日より90日を過ぎても洗濯物を利用者が受け取らず、かつ、これについて利用者の側に責任がある時は、クリーニング業者は受け取りの遅延によって生じた損害についてはその賠償責任を免れる。
第7条(基準賠償額支払い義務の解除)
- 利用者が洗濯物を受け取るに際して洗濯物に事故がない事を確認し異議なくこれを受け取ったことを証する書面をクリーニング業者に交付した時はクリーニング業者は本基準による賠償額の支払いを免れる。
- 利用者が洗濯物を受け取った後6か月を経過した時は、クリーニング業者は本基準による賠償額の支払いを免れる。
- クリーニング業者が洗濯物を受け取った日から1年を経過した時は、クリーニング業者は本基準による賠償額の支払いを免れる。ただし、この場合には、次の日数を加算する。
- その洗濯物のクリーニングの為に必要な期間をこえて仕事が完成した場合には、その超過した日数。
- 特約による保管サービスを行った場合には、その保管日数。
- その洗濯物のクリーニングの為に必要な期間をこえて仕事が完成したのち、継続して特約による保管サービスを行った場合には、超過日数と保管日数を合算した日数。
- 地震、豪雨災害等、クリーニング業者の責めに帰すことのできない大規模自然災害により、預かり品が滅失・損傷し、洗濯物を利用者に返す事が出来なくなった時は、民法の規定に基づき、クリーニング業者は預かり品の損害の賠償を免れる。
第8条(クリーニング事故賠償審査委員会)
- この賠償基準の適用に関して、利用者とクリーニング業者との間に争いを生じた時は、当事者の一方からの申出に基づき、クリーニング事故賠償審査委員会がその判断を示すこととする。同委員会の構成等は、別に定めるところによる。